春の植え付け前の土作り
3月も半ばにさしかかり、春の植え付けに向けた土づくりの季節となりました。今月は良い土づくりの方法をご紹介します。
土作り
作物の品質や収量を確保するには春の土作りがとても重要な作業となります。使用する堆肥の種類や、土の酸度(pH)、元肥の種類によって作業日程も変わってきます。そのため、自分の畑のスケジュールをしっかり確認しておきましょう。
やみくもに堆肥や石灰資材を投入しても良い土にすることはできません。それどころか、かえって土の状態を悪くすることもあります。この土の問題点はどこにあるのか、また、どのような作業が必要なのか、まずは土の状態を確認しましょう。
良い土の条件
通気性と水はけがよいこと
植物の根は呼吸をしているため、土壌中に酸素がある環境ではどんどん新しい根を伸ばし、地上部も元気に育ちますが、通気性が悪いと酸素が不足して窒息状態となり根腐れを起こしてしまいます。
保水性と保肥性に優れていること
せっかく雨が降ってもすぐに乾いてしまうような土では、根は必要な水分を吸収することができません。さらに、保肥性があることも重要です。保肥性がないと、せっかく施した肥料がすぐに流れ出たり、施した肥料が直接植物の根に当たって肥やけを起こしたりします。 水分や肥料分を土の中に保持し、量を調節しながら供給できる土である事が大切なのです。
団粒構造の土
保水性がよく、水はけがよい・・・一見、矛盾しているようにも思われる、これらの条件を満たすことができるのが「団粒構造の土」です。団粒構造の土は、細かい土の粒がくっついて、団子状になった大小の塊からできています。
余分な水は塊と塊の間のすきまを通って下に流れ、水が通った後に空気が入ってきます。そのため、水はけと通気性が良いのです。一方、塊の中の小さな粒の間には、水分や肥料分が保持されます。土をこの団粒構造にすることが土作りの一番の目的です。
土の酸度が適正であること
植物には生育に適したpH(※1)があります。作物の種類ごとに、生育に好ましいpHが異なるので、作りたい品目に適正したpHの土作りを行いましょう。
※1pH(ペーハー)
酸・アルカリの強さは、pH(ペーハー)という記号で表します。 pH7を中心に、値が小さいほど酸性の性質が強く、値が大きいほどアルカリ性の性質が強くなります。
団粒構造の土にする方法
堆肥をまいて土に入れ込みながらしっかり耕すことです。堆肥には土の団粒化を促す効果があります。土に堆肥を入れると、堆肥が微生物のえさになって腐植ができます。この腐植や、微生物が分泌する粘液質などがのりの役割をして土の粒子をくっつけ、土を団子状にするのです。その役割を果たしてもらうために、堆肥は植え付けの2週間前には撒きましょう。また、有機物を豊富に含み、微生物が活発に活動している土は、上から押しつぶされても、簡単には硬くなりません。
pHの調整
酸性土壌を示す指標植物のスギナやオオバコが生えているかどうかで、土の酸度を推測することもできますが、是非測定キットや土壌分析などを使って正確な数値を把握しましょう。
雨が多い日本の土壌はマグネシウム(苦土)やカルシウム(石灰)が流され酸性の土壌になる傾向があります。土壌が酸性の場合、植物がマグネシウム(苦土)を吸いづらくなります。そのために石灰質資材を投入して土壌のpHを調整する必要があります。
炭苦土(粉)投入例
作目 | 投入量 | 単位 | 面積 |
野菜 | 100〜120 | g | 1㎡ |
JAから料金の20%以内の助成を行います。
今年度については雪が多く、なかなか畑の準備が進みませんが、4月下旬の種まき・苗植えに間に合うように準備作業を進めましょう。
またJA中野市でも土壌分析を行っております。畑の土壌も人間と同様に「健康診断」を行い、人間が見ることのできない土壌の中の状態や成分の過不足を調べることで、その土壌に合った土作りや施肥を把握して、健全な作物の生育に繋げましょう。
お問い合わせ
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