園地の冬支度と防寒対策について
日に日に冬の寒さが厳しい時期になりました。今冬は、全国的に気温が平年より低く、厳しい寒さになると言われており、特に日本海側では積雪量が多いと予想されています。さて、園地の防寒対策はお済みですか。今回は、厳しい寒さに備えて園地の冬支度と防寒対策について紹介します。
Topic 1 具体的な冬支度・防寒対策
稲わら巻き
目的 |
1)冬の極寒温度低減 2)春先の樹体温度の上昇を防ぐ 3)樹体の寒害防止 |
内容 |
果樹品目の成木の主幹部に稲わらを巻き、冬の極寒・春の寒の戻りに備える |
時期 |
落葉後、ある程度低温に遭遇させてから、わら巻きを行う |
方法 |
主幹部分にわら2束分の高さ(120㎝位)まで、厚さ5㎝になるように保護する。また、主幹部に雨水が流入しないように、上部にビニールや肥料袋等でしっかり覆う |
果樹棚の倒壊防止
目的 |
1)棚上に着雪しないようにする 2)降雪後、雪や枝の重みに耐えられるようにする |
内容 |
1)ぶどうの粗剪定を行う 2)太い主枝を支えるように支柱を設置する 3)棚の補強と加重バランスを考え、幹線(太い針金)の交差している部分に均等に木柱等を設置する |
時期 |
できるだけ降雪前に実施する |
枝折れ防止
目的 |
りんごやもも等の立ち木果樹は、太い主枝上に着雪があると、主枝ごと折れてしまう恐れがあるため、支柱で補強する |
内容 |
果樹支柱や木材支柱等を使い、下から突き上げるように支える |
時期 |
できるだけ降雪前に実施する |
木炭(消雪剤)の準備
園地全体に消雪剤を散布する
目的 |
降雪時の着雪や融雪時の引き込みによる主枝の折れ、棚の倒壊を未然防止する |
内容 |
炭を事前に購入または製造し、倉庫や園地内に保管しておく |
方法 |
降雪の都度、消雪剤を園地全体または主枝・側枝上に散布し、融雪を促す |
鳥・獣害対策
目的 |
1)鳥・獣の越冬生息数の減少を促す |
内容 |
収穫されていない果実が園地内にあると、鳥・獣はエサ場と認識し、園地に近づく要因となるため、次年度の被害が懸念される。また、ニホンジカによる主幹部の食害を防ぐため、「主幹部のわら巻き」や「ビニールテープの巻き付け」、「侵入防止ロープの設置」などが有効。 |
方法 |
1)鳥・獣のエサ場にならないよう園地に残っている果実を全て取る 2)園地外に持ち出す、または土中に埋めて処理する |
ネズミ対策
ネズミの活動穴付近にネズミのエサ場を設置する(写真3)
目的 |
エサが少ない冬期に、殺鼠剤の効果でネズミの生息密度を低下させる |
内容 |
1)エサ場(ベイトステーション)を設置し、ネズミの生息密度を低下させるネズミの活動穴付近にタイヤを置き、タイヤ内側に殺鼠剤を入れると効果的 3)草刈りや耕耘を実施する。または、秋冬期に除草剤(ラウンドアップ等)を散布する |
方法 |
1)ネズミの活動している巣の付近、園地の外周にエサ場を設置する 2)ネズミやモグラが侵入してくる場所に、石灰窒素を地表面に散布する |
Topic 2 「備えあれば憂いなし」。
今年の冬も大雪が予想されています。雪が降ると作業が滞り、対応策が手遅れになることがあります。過去の経験を忘れず、出来る時に出来る事を済ませて、万が一に備えてください。また事前の準備を怠らず、雪害・寒害・獣害防止に努めましょう。
ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽に園芸課•技術担当までお問い合わせ下さい。
営農センター内 園芸課技術
TEL:0269-23-3933
準備はお済みですか?ハウスの雪害対策
近年、温暖化の影響で湿った雪が突然降る傾向です。大切な施設を降雪から守るため、ハウス等の事前点検を早めに行い、雪害防止に努めて下さい。冬期間ビニールを屋根に巻き上げる方式の場合は、きっちりと巻き上げ、両端の直管パイプを縛るなど、間が広がらないようにして下さい。中途半端な状態で放置し積雪した場合、アーチの変形やハウスの倒壊などの原因になるため、細心の注意を払いましょう。
- 防鳥用の網などが完全に収納されていなかったことにより、雪害を被った事例があります。網(寒冷紗も含む)は、しっかり収納して下さい。
- 野菜・花卉類のハウスで補強が必要な場合は、早めに営農資材店(電話 0120-20-4312)までご相談下さい。
- 加温装置があるハウスでも、温度管理に細心の注意を払って被害防止に努めて下さい。
- 大雪の年は、農業施設用燃料(重油・灯油)漏れ事故が多発します。加温開始までは燃料タンクの元栓は締めておいて下さい。
もしもの時のために園芸施設(ハウス)共済への加入をお勧めします。 園芸施設(ハウス)共済に関するお問い合わせは、NOSAI長野 北信支所(電話 026-219-2892)までお願いします。
<雪害に関するお問い合わせ先>
JA営農センター 園芸課 TEL:0269-23-3933